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電子カルテ
法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存を意味します。
平成11年3月11日に電子カルテに関するガイドライン及び運用管理規定(例)が財団法人医療情報システム開発センターから厚生省健康政策局長宛てに提出され、4月22日に厚生省健康政策局長、医業安全局長、保険局長から各都道府県知事宛、診療録等の電子媒体による保存について一定の基準を満たす場合にこれを認める通知が出されました。診療録の電子化は、患者さんの利便性の向上、業務の効率化、医療の質の向上に資するものとの理解が示されました。私は、きわめて理にかなった、実務家の作成した、すぐに電子カルテが実用化できるように作成されたガイドライン及び通知であると考えております。
電子カルテに関する私見を述べます。
1 患者さんの利便性の向上
- 病歴保存期間の延長 従来一部5年間、一部2年間の保存義務が課せられていた診療録、診療諸記録の電子媒体保存が認められたことにより、保管場所の問題が大幅に解消され、保存期間の大幅な延長が可能となります。
- 病歴参照の即時性 今まで長期に渡り病歴を保存していた医療機関でも、inactive
な病歴は、保存場所の関係で取り出しに時間のかかる場合も多かったと思われますが、電子カルテの導入により、かなり古いカルテに関しても、診療録、診療諸情報の一部に関してはすぐに再利用可能となります。
2 業務の効率化
- 入力済み情報の再利用 一度入力された患者さんの情報が再利用可能であることは、医師、パラメディカルの業務を簡素化し、より多くの時間を患者さんのために使うことを可能にします。紹介状、依頼状、礼状、予約表、手術予定、手術録等の通常業務の書類作成時に、氏名、生年月日、病名、視力、眼圧などの情報が再利用できれば、個別の情報提供に時間が割け、より深い情報交換が可能となると考えられます。
3 医療の質の向上
- 医療行為の整合性の検証 症状から考えられる病名、検査項目、投与薬剤、経過観察頻度、経過観察期間の整合性を即時に検証できるように設定できる。
- 薬剤投与の整合性の検証 アレルギー、全身疾患との関係による禁忌薬剤、薬剤併用時の薬剤相互作用を即時に検証できるように設定できる。
- 患者さん管理の自動化 たとえば、緑内障の患者さんで、定期経過観察、加療を必要とするにもかかわらず受診しなかったときに、自動的にチェックしその患者さんに対する対応を促す様なシステムシステムが構築できる。
- 患者さん管理の自動化 たとえば、緑内障の患者さんで、眼圧、視神経陥凹、視野障害の程度で、個別に設定した診療プラン、眼圧、視野、視神経、視神経繊維層のチェックをどの程度の頻度で施行し、薬剤を変更したときにはどのような診療プランにし、手術を施行したときにはどのような診療プランにするといったあらかじめ設定しうるプランを自動化し、診療内容を均質化するようなシステム構築ができる。
- 情報分析による医療の質の向上 入力済み医療情報の再利用が可能なことから、情報分析による医療行為の自己フィードバックが可能となり、業務内容の見直しが容易となるようなシステム構築ができる。
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