AAO subspeciality day
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網膜硝子体のsubspeciality dayにでました。

毎年AAOに出席する時にはできるだけsubspeciality dayに出席するようにしています。AAOに初めてsubspeciality day が設定された年もglaucomaを選択しました。その年はglaucomaのみで他の選択はなかったのですが。緑内障、屈折手術、網膜硝子体の順に3ー4年毎に違ったものを取っています。パネルディスカッションで、追試したがあまりいい結果が出ない、もう少しいい方法がないのか、などという本音が聞けるので、どれが信用でき、どれが信用できないのかとういような、鼻が効くようになります。どれが常識レベルの話で、どれがまだ結論の出ていないかの見分けにも役に立ちます。

1 糖尿病網膜症

すべて臨床研究結果の結論にそって治療すべきことが強調される一方,ETDRS, DRSなどによってカバーされていない部分に関してはどこまで拡大解釈してもいいかという,実際の例をもとにした話でした.


DM 内服治療 protein kinase Cに関する治療薬が取り上げられていました。

眼科医が検眼鏡的に見るよりも、眼底写真を訓練されたgrader(評価技師)が評価する方が診断率が高い。これは、自分自身、無散瞳で直像鏡で眼底を見るよりも、無散瞳眼底カメラの画像を評価した方が見落としが少ないという経験と一致しました。

2 老人性黄斑変性

老人性黄斑変性に関しては,治療に際して患者さんに対しての説明が強調されていました。治療した場合,治療しなかった場合,代わりになる治療法などにつき十分な説明と理解を要求していました。この説明とは,数字を出した具体的な説明を意味します。
ドルーゼンに対する光凝固,光凝固はドルーゼンの吸収には有効だが視力予後に関しての結論はまだ出ていないとのことでした。
放射線療法に関しても,効くもの,副作用の出るもの,線量決定が難しいとのことでした。
photodynamic therapyに関しては,かなり広範な治験がおこなわれているようです。
AMDにかんするパネルでは、外科的治療とレーザー治療の選択が問題になっていました。

3 硝子体切除を伴わない網膜前膜の治療

硝子体切除手術後に水晶体の核硬化が起こり、手術適応になってくることがほとんどなので、硝子体切除をせず網膜前膜剥離のみを起こさせる手術を大阪大学の田野教授が発表されており、4回目ぐらいの同じ内容の発表とのことでしたが、喝采を浴びていました。


4 黄斑円孔の手術 

complicationが強調されていました。この手術が40%程度のcomplicationを伴うこと、complicationが多い手術であることを十分自覚した上で手術を施行すべきことが強調されていました。

5 diodepexy complication

一般化してきたdiodepexyのcomplicationがいくつかあがっていました。

6 retinitis pigmentosa


vitamin Aの内服の有効性が強調されていました。

7 CRVO anasutomosis

CRVOにたいするchorio-retinal anastomosisの有効性に対する疑問が多くの追試をした組織から出ていました。

8 retinoblastoma 

radiationの適応が減っている。これは、治療の方法としてradiation以外の選択肢がでてきたため、radiationによるsarcomaなどの悪性腫瘍の発生率の増加を改善するためである。

9 pneumatic retinopexy  

初回有効率が73%という数字は10年前と同じであるにもかかわらず、初回手術として選択する理由が述べられていました。経済的負担、時間的負担の軽減が強調され、C3F8, SF6ガスともに用いられているようです。15年近くたっても手技としてまだまだ健在という感じです。

10 眼内炎患者の外来経過観察(前眼部手術専門医)


眼内炎の患者さんで光覚弁以下の患者さんは硝子体手術がすぐ必要であるが、手動弁以上の人は眼内抗菌剤投与と硝子体切除の間に最終視機能結果に差がない。このことから、手動弁以上の人は眼内抗菌剤投与のみで外来経過観察されることになっているようです。

この時の手動弁の評価方法が重要であるとのことでした。1m離れた場所で手の振れが2方向で確認できること。これが手動弁なので、30cm手動弁、50cm手動弁は光覚弁に分類されることになります。